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〒770-0944
徳島県徳島市
南昭和町4-70-3-301
井口 利枝子
Tel/Fax :088-623-6783
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 国土交通省徳島河川国道事務所への申し入れ
 
                              2004年8月26日
国土交通省四国地方整備局長

       横田耕治 様



国土交通省四国地方整備局
徳島河川国道事務所長

       石川 浩 様





                       とくしま自然観察の会
                       世 話 人      井 口 利 枝 子

                       吉野川ひがたの会
                       世話人代表      樋 口   緑

                       生活協同組合 コープ自然派徳島
                       理 事 長      八 木 正 江

                       吉野川河口と沖洲海岸を守る会
                       会 長        大 寺 正 彰



東環状大橋(仮称)建設の河川協議および吉野川河口干潟保全についてお願い
 吉野川河口干潟は、生物多様性に富んでいるだけではなく、河口干潟としては国内でも
有数の規模と景観を誇っています。また、シギ・チドリ類をはじめとする渡り鳥の渡来地
として、「東アジア・オーストラリア地域シギ・チドリ類重要生息地ネットワーク」に国
内で最初に参加するなど、国際的にも注目と関心が寄せられている干潟であることは皆様
ご承知のとおりです。また、森と海をつなげる吉野川が海と出会うところにできた河口干
潟は、川や海の生命を支える重要な場所であり、この干潟を含む吉野川の汽水域は、全国
的にも希有かつ健全な生態系を保持しています。
 本年5月、国土交通省河川局によって、「汽水域の河川環境の捉え方に関する手引き書」
が初めて作成されたことは、今や汽水域の重要性が再認識され、公的に認知され始めたこ
との証の一つとして、私たちは大いに勇気づけられ、また期待もしているところです。
 私たちは、一人でも多くの人々に吉野川河口干潟の素晴らしさや楽しさを伝えつづけて
いくとともに、森から海へという視点にたって、干潟の保全と賢明な利用を推進すること
を目的として活動を続けています。ところが、昨年12月に着工された東環状大橋(仮称)
(以下大橋と呼称)の建設は、このような希少で豊かな自然とその景観に甚大な影響を与
えることが懸念されるものです。現在、私たちは工事や供用後の大橋が環境に与える影響
について大きな不安と憂慮を抱き、従来から様々な機会を捉え、十全な環境影響調査を要
望し、さらに徳島県が実施した環境影響調査の不備を指摘し、結果について質問を繰り返
してきました。しかし徳島県の対応は、必ずしも十分なものとは言えませんでした。
 大橋建設事業の進め方について私たちが大いに疑問とし、そもそも問題とするところは、
都市計画審議会での審議や、設計検討委員会での検討等、大橋建設に関する決定から着工
までのプロセス全体が環境への影響評価、住民参加や説明責任、住民合意などへの十全な
配慮が全く欠けたままの状態で進められてきたことです。このことは、河川法に盛り込ま
れた精神に真っ向から反しているものと言えるのではないでしょうか。
 国民の財産である吉野川河口干潟の特質や価値が十分に評価され、未来への贈り物とし
て、吉野川河口干潟を保全されることが私たちの切なる思いです。
 つきましては、吉野川の河川管理者である貴職におかれましては東環状大橋(仮称)建
設に関する河川協議において「国土交通省は直接の事業主ではない」ということを理由と
して消極的な態度を示すことなく、吉野川河口干潟および汽水域の保全に関し、大橋建設
に係る諸問題を含めて徳島県を強く指導していただくようお願いいたしたいと存じます。
 今後とも吉野川河口干潟の保全と賢明な利用について、ご努力いただきますようお願い
申し上げます。
 また、以下のような疑問点、問題点および要望について、説明会を開くなどにより貴職
の立場及びお考え等について、ご説明いただきますようお願い申し上げます。
 また、併せて文書によるご回答を9月24日までにいただけますようお願いします。

1.吉野川の汽水域の評価と保全に関して、吉野川の総合整備計画策定のなかで、
  汽水域保全に係わる住民参加型のしくみづくりを検討してください。

 干潟を含む吉野川の汽水域は日本においても、とくに希有な生態系が保持されている汽
水域であることは上述の通りです。現在及び今後の吉野川汽水域の開発に関して、国土交
通省河川局による「汽水域の河川環境の捉え方に関する手引き書」がどのように反映され、
また反映させていこうとお考えなのでしょうか。また、今後進められることとなっている
総合整備計画策定においても汽水域の保全を念頭におくことが重要であると考えます。
 特に河口域の今後の環境保全を考えていく上では吉野川汽水域及びその周辺で計画され
ている、あるいはすでに実施されている複数の事業を汽水域の保全と賢明な利用という観
点から一体的に評価することが必要と考えられます。この点について河川法に盛り込まれ
た精神に則り、住民参加と住民合意を基調とした明確な考え方とそれに基づく具体的な方
針を示すかどうかによって吉野川の河川管理者としての貴職の河川行政に対する姿勢が問
われていると思います。

2.吉野川河口干潟が国際的にも重要な湿地であることに鑑み、貴職には河口域保
 全のための更なる努力をお願いし、また国土交通省河川局による「汽水域の河川
 環境の捉え方に関する手引き書」を吉野川河口域の保全に反映させてください。

 吉野川においては流域全体をとおして環境に配慮し、保全されることが望ましいのです
が、最近、河川管理当局の本汽水域への関心が希薄になってきているように思います。
 河川局による「汽水域の河川環境の捉え方に関する手引き書(以下手引書)」のなかで
は、「・・・・大型の船舶の往来にも対応できる港湾整備やそれにともなう航路の維持や
道路、橋梁の建設などが各地で進められ、その結果、汽水域の環境は各地で大きく変化し、
生物の種類数やその個体数の減少など様々な環境への変化が顕在化しています。特に生物
の生息・生育環境として重要な河口干潟の減少も著しく、現在河川管理上の最重要課題の
一つとなっています。」と河川法だけでは汽水域の環境面での規制が十分でなかったこと
を認めています。
 東環状大橋(仮称)建設について、徳島県は「環境モニタリング調査の結果、工事に起
因すると判断されるものは工事方法の変更を検討するなど、工事施工に反映させる。」と
しています。そのためには環境モニタリング調査結果及びその評価を早急にとりまとめ公
表することが求められています。貴職におかれましても、手引き書の趣旨に則り、本汽水
域の環境保全に努力していただきたいと存じます。

3.東環状大橋(仮称)建設事業に係わる貴職と徳島県との河川協議においては、
 様々な課題が積み残しになっており、河川協議そのものが形骸化するのではない
 かと憂慮しています。吉野川の河川管理者として貴職が、徳島県知事に対して毅
 然とした態度で指導していただくようお願いいたします。
  さらに、私たちは次のような疑問を持っています。これらの点について具体的
 に説明していただくようお願いする次第です。
1)平成15年1月29日付の東環状大橋(仮称)等の許可書に示されている9項
 目の条件について、貴職がそれぞれを評価検証し、その結果を説明してください。

2)徳島県からの平成15年度調査報告書が未提出のまま、また徳島県による調査
 結果検討の仕組みが非常に不完全なままで河川協議が進められていることに私ど
 もは大いに疑問を感じています。

  許可書に示されている9項目の条件のなかで特に、「この許可に係る工事の事後調査
 (工事中及び供用後)については、毎年、調査計画を事務所長と協議するとともに、調
 査結果を学識経験者の評価を添えて報告すること。」とありますが、平成15年度の報
 告書が徳島県からは未だ提出されていないにもかかわらず 平成16年度のモニタリン
 グに関する協議が進められていると聞いています。吉野川河口干潟への環境影響に関す
 る評価や、今後の干潟保全策を考える上においても、工事が開始された現段階において、
 慎重に協議をしておくことが、ことのほか重要であると考えられます。しかし、学識経
 験者によりモニタリング調査結果を検討するための徳島県が開催する環境アドバイザー
 会議は、未だ一度も開催されておらず、吉野川河口干潟に対する東環状大橋(仮称)建
 設工事の影響を評価する上で、最も重要な指標の一つである渡り鳥の専門家が突如お辞
 めになるなど、モニタリング体制に不備が認められます。

3)東環状大橋(仮称)建設事業について、専門家の参加のもと、市民向けに環境
 モニタリング調査結果の報告会を早急に開くように徳島県に指導し、実現にむけ
 て最大限努力してください。

  平成16年春の徳島県との間で行われた河川協議において、平成16年5月には専門
 家立ち会いのもと、市民向けの報告会を開催し、情報公開を積極的に行い,市民に対し
 て説明責任を果たしていく旨の約束が取り交わされたと聞いています。しかし、報告会
 の開催に関しては、その実施時期が次々と延期され、現段階においては、そのような話
 はなかったということになっています。このことひとつとっても、私どもは国及び県の
 東環状大橋(仮称)建設に対する対応に益々不信感を募らさざるを得ません。また、こ
 のことは河川協議における徳島県の対応が場当たり的で誠実さを欠くものであることを
 如実に示すものであり、貴職として、なお一層の厳しい指導を徳島県に対して行うよう
 お願いする次第です。

4)市民の意見をモニタリング調査に反映し、河口干潟の保全に有効に活用するこ
 とを目的とする住民参加型のモニタリング委員会を設置するように徳島県に指導
 し、実現にむけて最大限努力してください。

  東環状大橋(仮称)建設事業では、環境影響予測、その結果に基づく保全策の策定、
 及びその評価などがどのような体制の下で行われていくのかが全く明らかにされていま
 せん。さらに環境保全に関する私たちの意見や要望等に対しては、何の考慮も払われる
 ことなく放置されているのが実情です。特に建設工事にかかわる環境影響調査や環境保
 全対策については、市民やNGO、専門家など幅広い人々と行政も加わった公開の検討の
 場を定期的に設定するように再三再四お願いしてきました。特に検討の場としてのモニ
 タリング委員会の設置を要望しましたが、徳島県からは否定的な回答しか得られており
 ません。
  徳島県が9月1日に第1回の東環状大橋(仮称)環境アドバイザー会議を開く予定で
 あるとの報道がなされました。しかし、会議が開かれることは私どもとしても高く評価
 するのですが、専門家によるアドバイザー会議の役割は、その名前が示すとおり環境調
 査や評価について助言をするだけであり、モニタリング調査本来の目的である調査ある
 いは評価の結果を事業に反映するという仕組みは確保されないのではないかとたいへん
 心配しています。このままでは形式的な審議が行われるのみであり、その結果重大な影
 響があっても徳島県が「影響は軽微である」として、工事が続けられていくのではない
 かとの危惧を抱かざるを得ないのです。
  河口干潟、ひいては徳島県民の生活に大きな影響を陰に陽に与えることが懸念される
 東環状大橋(仮称)建設工事やその供用に関しては、その環境影響評価、及び干潟保全
 策やその他の必要とされる措置等の検討は第三者機関を設置し審議していくことが理想
 です。しかし、すでに工事も開始されており、モニタリング調査がはじまっている事情
 を考慮し、私どもとしては添付資料のような目的と役割を有するモニタリング委員会
 (仮称)の設置を徳島県に対して要望しました。
  モニタリング調査を、形式的な事後観察の域に終わらせないためにも、また審議した
 内容や市民の意見も確実に環境保全のために反映されるためのシステムが重要だと考え
 ており、できるだけ早く実現させる必要があります。

  以上


【添付】モニタリング委員会(仮称)

1)[目的] モニタリング調査の結果について十分な科学的検討と評価を行い、また市民
の意見等も含めて、その検討結果を事業に確実に反映させる。
2)[役割] 
@妥当な調査項目の選定と高い信頼性を有する調査方法を提案し、その実施を担保するこ
と。
A 調査データの分析とその結果について的確に評価し、もし不十分な点があれば、改善
方法を提案し、その実施を担保すること。
B 調査データの分析・評価をもとに、施行方法の見直し、工事の中断・凍結・中止など
適切な提案・助言・指導等を事業者である徳島県に対して行うこと。
C モニタリング調査に関連するすべての事項に関して市民参加の機会を保証すること。
さらに、市民の意見を反映させ、実質的な市民参加のしくみを工夫し、実施すること。
D 環境モニタリング調査及びそれに基づく結論を得るに至るまでのプロセスを公開する
こと。また、透明性を担保するため議事録の公開や公開報告会の実施などを通して調査の
詳細に関する情報公開に努めること。
E今後の吉野川河口干潟の保全を図るため、関心のある市民・研究者に生データを利用可
能な形で広く公開すること。
3)[構成委員の選考]
吉野川河口干潟を対象とするモニタリングであることを念頭において、その主旨と目的に
そった、専門家を各調査ごとに複数名