シンポ議事録

> [司会]
>  そろそろ開始時間が参りましたがご準備の方いかがでしょうか。よろしいですか。 >  いま係の者が白い用紙をお配りしております。後半部分のパネルディスカッショ ンでフロアの皆様方からの意見を広く頂戴してそれを中心に話を進めていきたいとい うご希望がありまして、用紙をお配りしております。どんなことでも結構ですのでご 意見、ご感想、ご質問などを積極的に書いていただけますようお願いいたします。そ の用紙は花輪さんがお話しの後、係の者が回収いたしますのでご記入の程よろしくお 願いいたします。
>  それからお手元の資料、訂正がございます。資料の26ページの見出しの部分で 「吉野川河口域周辺における」となっておりますが、「吉野川河口干潟における」と 訂正いただけますようお願いいたします。お手数をおかけいたしますがよろしくお願 いいたします。
>  ではそろそろ時間が参りましたので始めさせていただきます。
>  緊急シンポジウム『東環状大橋建設と吉野川河口干潟−こんなに美しい空と風が あることを世界に誇りたい』、今から開催いたします。
>  始めに吉野川ひがたの会粟飯原冶人よりご挨拶申し上げます。
>
> [粟飯原]
>  吉野川ひがたの会粟飯原です。どうもこんにちは。今日はお休みのところ緊急シ ンポジウム『東環状大橋建設と吉野川河口干潟』にお越しいただきまして誠にありが とうございます。
>  私たち吉野川ひがたの会は去る10月5日、東京で行われました緊急シンポジウム 『吉野川河口干潟を救え!』の成功を受けまして、ぜひ徳島県民の皆さんにも吉野川 河口干潟の重要性を知っていただき、また目の前に迫りました東環状大橋建設と合わ せて考えていただきたいと思い、本日のシンポジウムと現地見学会を企画するに至り ました。
>  本日は東京の方から衆議院議員の佐藤謙一郎先生、WWFジャパン花輪伸一先生、 そして東京大学大学院で助手をされています清野聡子先生にお越しいただきました。 また徳島県の方からは県土整備部要哲雄様のご出席をいただくことができましたこと をこの場をお借りしまして御礼申し上げます。
>  「吉野川ひがたの会」はこのシンポジウムを開くために個人が集まったグループ の名称ですが、私たちが今日このような場を設けるに至ったのは、日頃から吉野川の 干潟の重要性について熱い熱意をもって私たちに訴え続けてこられた井口利枝子さん の存在が欠かせないと思います。
>  皆さんはもう井口さんをご存じだと思いますけれども、「とくしま自然観察の 会」で吉野川干潟の自然と県民の触れ合う場をずっと提唱されてこられました。シオ マネキですとかルイスハンミョウ、そういった人間の言葉を喋れない生き物たちの代 弁者として市民の間で非常に活躍されている方だと思います。今日はこの後のシンポ ジウムの方でパネリストとして人間の言葉を喋れないルイスハンミョウですとかシオ マネキの代わりに熱弁を振るっていただけることと思いますので、ぜひ期待していた だきたいと思います。
>  今日は講演、人形劇、シンポジウムと盛りだくさんの内容になっておりますの で、この場を機会としてぜひもう一度吉野川河口干潟の重要性というものを考えてい ただきたいと思います。今日は5時半までちょっと長い時間ですけども、どうぞよろ しくお願いいたします。どうもありがとうございました。
>
> [司会]
>  それではまず最初に「東環状大橋建設について」石井愃義さんよりお話しいただ きます。石井さんは徳島大学総合科学部教授で、生物学を専門とされています。徳島 県自然保護協会会長として徳島県の自然保護のリーダー的存在でもあります。石井さ ん、よろしくお願いいたします。
>
> [石井]
>  吉野川の河口近くに東環状大橋という大きな橋が建設されるということは、徳島 県民ですらあまりよく知らないというのが実状じゃないかと思います。建設されるこ とになった経緯、建設される場所の意味について簡単に話を進めていきたいと思いま す。
>  お手元の資料の中でも、いつ頃、どういうことでここに橋を架ける計画がつくら れたかということが簡単に触れられております。大体20年弱前にこの計画がつくられ ました。人間がどういうふうに動くか調査して、それを基にしてこれからのことを予 測するわけですね。その際、いろいろと予測数値が出てくるわけです。その数値を基 にして「何年になると車がこのくらい走ることになるから今の橋のままでは狭い。そ れではこちらにもう一本橋を架けよう」というような話で計画がつくられたわけで す。その計画が基になりまして今の東環状大橋と呼ばれている橋がつくられることに なりました。
>  どういうふうに車が増えるのか、車がどこからどこへ行きたがっているのかとい うことが肝心なことなんですけれども、それについて私どもは県の方に質問状を出さ せていただいて回答をいただきました。回答をいただいて、いろいろ検討したんです が、よく分からない。よく分からないというのは何かというと、調査をした時点でど うだったかという基のデータが付いてなかったんですね。それも後で要求しなければ いけないなと思ってるんですけれども。
>  それを見て感じたことは、非常に過大評価をしているという気がいたしました。 国土交通省が何ヶ月か前に「2030年になると車がどんどん減ってくる」という予測を してるんですね。そういうことも織り込み済みなのかどうかも考えなきゃいけない。 どうも過大な数を考えて、それに基づいてこの計画がつくられたように私は思う。後 でパネルディスカッションのときにもそういう話をさせていただきますけども。
>  そういう計画の下にあそこに大きな橋を架けるという話が出てきました。あそこ は非常に大事な干潟で、野鳥がたくさん来るんですね。実は国際的に非常に重要な湿 地なんです。そこに橋を架けるというので野鳥の会県支部の方で反対をしました。当 時は私どもも第十堰の問題とかいろいろありましたので、手が回らなくてなかなかそ ちらの応援はできなかったんですが。野鳥の会は「橋じゃなくてトンネルにしろ」と いう主張をされました。東京湾の横断のトンネルはいろいろ面白い話があって、鉄骨 をつくる業者とコンクリートをつくる業者との目論見が当たってトンネルができたと いう話があるんですけども、そういうこととは別に生き物を守るためにそこにトンネ ルをという話をしたところ、いろいろと県の方で検討されて、「あそこにトンネルを つくると末広大橋に抜ける所の傾斜が急になって危険である」というような話があっ て、このトンネルの話は却下された。で、橋という形になりました。
>  しかし野鳥の会や我々がうるさく言うから「ちょっと何か考えよう」ということ だったんでしょう。橋の構造を少し変えようということで、お手元の資料を見ていた だくと分かりますけども、この中洲の所を跨いだ形で橋脚の間を極端にあける。あけ るためにここへ柱を立ててこれをワイヤーで吊る、という橋を考えた。「これを考え たからもう充分に配慮したんだ」というふうにおっしゃってます。
>  ところがあそこの干潟というのはものすごく大事な干潟でして、鳥が飛んでくる というだけじゃなくて非常に貴重な植物もこの中洲には生えてますし、それから底生 動物、砂の中に潜って生活している動物にも貴重なものがあそこにはたくさんいるん ですね。ですから橋脚を立てたらどういう影響があるかということをきちっと調べて もらいたい。
>  ということでいろいろとお願いしてるんですが、「充分な調査をしました」とい う回答はいただいてます。ところが調査した内容を見ると、全く不充分ですね。例え ば「鳥のためにこういう配慮をした」とおっしゃるんですが、そういう配慮をしてこ ういう橋にしたら鳥にどういう影響があるのか、あるいは配慮しなかったらどういう 影響があったのかというようなことが予測されてない。予測ですからもちろん外れる こともあるわけですけども、外れたときにどうするかということ以前に、予測がされ てない。いわゆる環境影響評価としてはもう落第なんですね。そういうきちっとした 基礎的な調査もされず、予測もされず、評価もされず、というようなものを基にして 橋の計画がどんどん進んでいるという状況です。
>  干潟とか海岸の浅い所とか湿地、こういう平らで上に何もない所を見ると、何か つくる人というのは「もったいない」と思うらしいんですね。「どんどん土を入れて 何かをつくってしまえ」と。そうすると安くそういう所が手に入ります。その結果、 日本中でそういう所がどんどん減ってきた。徳島県内も同じです。すでに徳島市の海 岸でもマリンピアの2期工事が行われたり、木材団地ですかね、がつくられたり。い わゆる自然の砂浜や泥浜の海岸が徳島県ではどのくらい残ってるかというと、もうほ とんど残ってないんですね。そういうふうになってきてしまうと、そういう所にいる 生物はもちろん死んでしまう。
>  「カニが少しぐらい減ったっていいじゃないか。人間が得すりゃいいんだ」とい うことはちょっと前にはよく聞いた話なんですね。例えば国のお役所、県のお役所に 行ってもそういう話はよく聞きました。しかし今はさすがにそういうことは言えない ということがみんなよく分かってきてるんですね。ところが、言ってはいけないとい うことは分かっても腹の中ではどうもそう思ってるんじゃないかという節があって、 「カニがいなくなったって人間が得をすればいいじゃないか」という考えが未だに横 行してるんですね。
>  ところが「このままだと我々がこの地球上に住んでいけなくなる」ということに 外国がまず最初に気が付いて、日本もだんだん気が付き始めてきた。簡単な例で言う と、地球温暖化ということで大騒ぎになってます。日本人はあまり考えないかもしれ ないけれども、海面からあまり高く上がってない土地に住んでいる人々は住む所が無 くなるかもしれない。そうなったときにどこへ移住するかと大問題になってる国があ るわけです。
>  日本でも「なんとかしなきゃいかんな」という考えだけは出てきて、後進国だと 指を差されないようにということもあったんでしょう。ようやく環境影響評価法とい う法律ができました。ところがその法律は、ある一定の規模以上の工事でなければや らなくてもいいということになっているために非常に問題があるんですね。小さい工 事は一切そういうものを免れてる。同じ地域で行われるいろいろな事業も別々にやれ ば何の問題も問われない。ということで、そういうのを悪用してやってるんじゃない かと思われるようなものが日本中にあるんですね。そうするとどんどんそういう所の 自然環境は壊れてしまう。生物は死んでいく。
>  先程の話に戻りますが、「シオマネキが絶滅したってどうってことないだろ」と いう話になるんですが、実はそうじゃないんだということが分かってきたんですね。 今、人間はものすごく科学が進歩したような顔してますけども、実は人間だけだった らこの世の中に一秒たりとも生きていけない。他の生物ががんばってくれてるから人 間も生きていけるわけです。ですからそういう生物のことも考えなければいけない。 もっと功利的なことを考えれば、実はそういう所にいる生物が何か人間に直接役立つ ものを生産している可能性も無いわけではないんですね。いくら科学が進歩してきた と言ったって、我々は自然界の全てを知っているわけではないんですね。例えば、実 はシオマネキはものすごく有効な発癌抑制物質を生産している、なんていうことがあ るかもしれない。そうなったらなったで今度はシオマネキを採集して家で飼ってみよ うという人が出てくるかもしれませんけど。そういうこともないとは言えないわけで すね。実際にそういうことに気が付いて非常に貴重な植物や動物になったという例は いろいろあるんですね。
> ですからいろいろな他の生物はバランスを持って生きていますので、「一つでも削 らずに全体を残していこう」というのが、我々が子孫に地球を残していくための生活 態度でなければならない。
>  ですからここに橋をつくるということに関しては、「絶対にそこに棲んでいる生 物には影響がないんだ」ということを確認する調査をしなければいけない。先程も言 いましたけど、予測というのはまだ現在の技術、あるいは科学の力では外れることも あるわけですね。そういうときにどうするかということも含めて、それをきちっと示 さなければいけないわけです。この東環状大橋に関して言えば、これをつくるという 根拠が怪しい上にあそこの環境に大きな影響を与える可能性が強い。もしそうじゃな いと言うのであればきちっとしたデータを出してもらいたい。
>  ここに我々が出した質問に対して県の回答をいただいてますが、もし細かい内容 についてご覧になりたければ私の方にでも県の方にでもおっしゃっていただいたら見 られると思いますので、そういう点を確認した上でぜひこの運動に荷担していただき たいと思いますのでよろしくお願いいたします。
>
> [司会]
>  引き続きまして、「吉野川河口干潟の重要性について」、清野聡子さん、井口利 枝子さんよりお話しいただきます。
>  清野さんは東京大学大学院助手をされておりまして、専門は河川・海岸・沿岸環 境保全学です。貴重生物のカブトガニの生息環境などを研究のテーマにされておりま す。
>  井口利枝子さんはとくしま自然観察の会世話人で、9年程前から河口干潟で観察 会などを開いておられます。自他共に認める干潟の主です。
>  では、よろしくお願いいたします。
>
> [清野]
>  皆さんこんにちは。
>  干潟の主というふうなお話があったんですけども、私は今日、吉野川の河口の意 義の話を一人でしようかと思ってたんですが、井口さんが大事にされてるフィールド を助けたいと思ってる気持ちも含めてお伝えしたいと思って、井口さんにいろいろ質 問するという形でやってみたいというふうに思いました。
>  私自身、干潟とか河口の研究をしてるんですけども、3年前に大きい工事があっ て私が研究してた場所が無くなってしまいました。今でも無くなった後の環境がどう いうふうに変わるかという調査に行くんですね。そこの場所にもやっぱり井口さんみ たいに干潟のことを大事にしておられる女の方がいて、三人ぐらいで干潟を歩いてる と涙が出ちゃうんですよね。「昔はあんなにいいとこだったのに」と思って。でも目 の前にあるのは全然違う場所なんですよ。失うものってそのときには分かんなくて、 あとから「こんなにずっと残ってたのかな」と感じました。
>  井口さんは干潟の主とか言われてますが、「ボンバー井口」とか言われて、「こ んなに大変なのに全然痩せない」と言われてるんですけども、どうもその井口利枝子 が泣いているらしいという話があって、研究してる人だとか干潟の保護運動してる人 にとってはものすごいずきっと来たんですね。今年で見納めだと思いながらその場に いることはものすごく辛いだろうと想像が付いたんです。
>  今日は井口さんたちがずっと調査されてきた結果も踏まえてやっていきたいと思 います。井口さんのような方のデータをどういうふうに環境のこととかに活かしてい くかというのはすごい大事なんですね。その一連[?]としていまOHPに出していただい てるんですけども。「環境が変わったな」というような気持ちはある程度のお年以上 の方は持ってると思うんです。でも、どういうふうに変わったかを次の世代に知って もらったりデータにするにはどうしたらいいのかというのは、研究者の方もいま一生 懸命考えているところです。
>  これは吉野川河口の経年変化ということで、国土地理院がずっと撮ってる写真を 並べてみたものなんです。この資料集の中にも入ってるので後でご覧いただければと 思うんですけども。こういった公の機関に存在するデータをもっと地元の方が使いや すくして、まず自分たちの周りを調べるということをやっていくことが大事じゃない かと思うんです。これ東京オリンピックの年なんですけども、その頃にはまだ河口の 沖にちょっと洲があるんですね。その後ずっと変化してきて今の状態になってるんで すけども。
>  64年に河口の沖に洲があったというお話を地元の方から聞くまではあまり深刻に 思わなかったんですね。つまり「昔は河口に瀬渡しの船で行って潮干狩りをしたんだ けど、もう最近は行かなくなっちゃったんだ」という話を聞いて、あれっと思ったん ですね。いろいろ調べてみると、河口の沖にあった洲を砂利採取でどんどん取っ ちゃったりとか他の構造物ができて、河口の環境がオリンピックのときと今とでは全 然違うようになってしまって、河口そのものはあるんですけど、みんなと縁遠い所に なっていったんだと思います。これから井口さんたちと相談しながら、どういうふう に徳島の人たちにとって身近だった河口が遠くなっちゃったのかというのを思い出し ていただけたらと思います。次、お願いします。
>  今の状態はほとんどこれに近いんですけども、こういうおむすび型の干潟が昔か らあったわけじゃなくて、徐々にできてきてるというのは確かだと思うんですね。
「こういうものは変化するものなんだから、そのうち無くなっちゃうかもしれないか ら諦めなさい」という声も無いわけじゃないんです。だけどそれがどういうふうに変 わろうとしてるのかをきちんと予測していただかないと、やっぱり大事にしてる人は 納得できないと思います。ここの砂州のすごいと思うところは、こういった砂浜みた いな所があるかと思うと葦原があって草原があって干潟があるということで、あらゆ る環境がセットになってる宝島みたいな所なんですね。ここに行ったことがある人は すごいと思うんですが、なかなか機会が無くて行かないとただそこにあるだけで、あ まり関心が無いということになっちゃうかもしれません。
>  井口さんは学生時代にネズミの研究をしておられて、今でもネズミの調査とかを やっておられる。この会場にも女の方たくさんおられますけども、井口さんみたいに 女性で理科系で生き物を勉強していて、そういう方が地元におられるという例はある んですけども、大学に勤めてるとか研究所にいるわけじゃなくて、ものすごいことを やってるんだけどもなかなかそれがメッセージとして伝わりにくいというのが現状で す。今回の運動を大勢の女の人たちが応援してるのは、女の人が思ったり見てきたこ とをもっと理解して欲しいというのも背景にあるのかなと思います。
>  じゃあそろそろ井口さん話し合いなんですけども、吉野川河口干潟ということで ずっと調査とか観察会をやってらっしゃると思うんですけども、ここのきっかけとい うのはどういうことで始められたんですか。
>
> [井口]
>  中洲の干潟は大体90haぐらいあるんです。私たちがフィールドにしてるのはもっ と小さな干潟ですけど、そこの場所に行きさえすればシオマネキという面白い生き物 がいるから子供たちと一緒に観察してみようかなという、そういう軽い気持ちです。
>
> [清野]
>  観察会には今まで何人ぐらい? すごい大勢の人が来てるんですよね。
>
> [井口]
>  自分たちの観察会と小学校とか保育所の観察会をお手伝いしてるんですけど、1 年間に15回ぐらい干潟で観察会をしてるんです。最初は50人とか100人とか、多いと きには250人ぐらいで、大体年間1,000人として計算すれば、9年ぐらいやってるので 大体1万人近い人たちがこの干潟の泥を踏んだということになります。
>
> [清野]
>  延べ人数で1万というのはすごい数字だと思います。で、スライドの中でぜひ見 ていただきたいところがあります。
>
> [井口]
>  これはトビハゼという魚ですけど、魚のくせして水がきらいという。これはムツ ゴロウのお友達です。これとかは全国的に少なくなってきたけど吉野川では当たり前 にいるし、その姿が見えなくても足跡が見える。コメツキガニが食べた跡とか、生き 物が直接見えなくても生き物の営みが伝わってくるのが干潟の魅力かなと思います。
>
> [清野]
>  井口さんの観察会の特徴は、井口さんがネズミの行動学をやっていたということ が大きいと思うんです。つまり、ただ姿を見るだけじゃなくてその生き物の営みとい うものに対してのすごい愛情があるんですよね。だから井口さんの観察会が大好きと いう人たちはドラマを見るみたいに干潟の生き物たちのいろんな生活を見せてもらえ るというのがあると思います。で、このカニの話……。
>
> [井口]
>  これはチゴガニ。一番人気者ですけど、小さなはさみでわんさわんさと阿波踊り を踊る。
>  これはコメツキガニといって、泥団子を一生懸命食べるカニです。上から見たら ただの泥にしか見えないんだけど、おなかの側はこういう紫で、チャームポイントで す。
>  これがかの有名なシオマネキ。潮を招くように手を振ってダンスをするという。 これがシオマネキです。
>
> [清野]
>  干潟のカニの話って字だけで出てもあまり分かんないんですけど、今みたいに阿 波踊りを踊ってるのとか手を振ってるのとかいろいろいるということですね。
>  営みの話で言うと、いろんな生活してる人たちとのコミュニケーションというの はあるんですよね。
>
> [井口]
>  これはアオノリの養殖 ――雑音――
>
> [清野]
>  タイラギって有明海だともう絶滅状態なんですよ。貝柱の大きいすごいおいしい 貝なんですけども、あの干潟に行ったらたくさん貝殻が落ちてて「これはすごいじゃ ないですか」って言ったら「えっ、そうですか」って言われて、徳島県の人はすごい ものがあるのにタイラギでさえ分からないというのはシンボリックだと思います。 >  あとスジアオノリもすごいんでしょ?
>
> [井口]
>  スジアオノリも漁師さんが乾燥させて時々くださるんですけど、その匂いはもの すごいいい匂いで、「全国一質の高いアオノリだ」と漁師さんは自慢してました。
>
> [清野]
>  生産量も非常に多いんですけれども、徳島県の人は奥床しくて四万十川みたいに 宣伝しないんだと思います。徳島空港に行くと四万十川アオノリを売っていて、空港 に行く途中でスジアオノリが生えてる所があったのに、なんでそれを売らないのかな というのが私の疑問です。豊かさというのがごく身近にあるんですけど、それを今は 全然意識しなくなっちゃった。昔は吉野川銀行ですか、どうして「銀行」と言ってた んですか。
>
> [井口]
>  吉野川の水が高知から栄養たっぷりの泥水を運んできてそれが吉野川の栄養と なって、それで魚の漁獲量がすごくて、漁師さんが1回漁に出たら農業に携わってる 人の1ヶ月分ぐらいの稼ぎが出るから「吉野川銀行に行こう」と言われてたそうで す。
>
> [清野]
>  銀行みたいに川に行きさえすればそこからお金が引き出せるという意味もあった らしいんですけども、そこに豊かな生態系があるから自分たちで努力すればその分ノ リだとかシジミといったものが採れたということなんだと思います。
>  これは、子供たち?
>
> [井口]
>  子供たちは最初は泥に入るのを嫌がってるんですけど、泥のひんやりしたいい感 じとか中に生き物がたくさんいるのを発見したら、最初は嫌がってた子供たちが帰る のを嫌がる。これは子供ですけど大人も一緒になってやります。もう膝まで泥に浸 かって。
>
> [清野]
>  さっき石井先生のお話にもあったんですけども、こういうものができちゃうと干 潟の生物とかさっきのリラックスしてた人たちはどんなふうな感じになっちゃう気が しますか。
>
> [井口]
>  こういうふうに図面で見たらただの線ですけど、現地に行ってみて橋が架かると いうことを想像したら気持ちが暗くなります。吉野川の製造業[?]をしてる人たちに も「この風景は宝なんだ」と言う人がずいぶんたくさんいました。
>
> [清野]
>  そういう調査をされたんだと思うんですけども。
>
> [井口]
>  「河口の干潟のシオマネキを知ってますか」というところから始まって「東環状 線の計画を知ってますか」とか「それについてどう思いますか」とか、私たちが日頃 思ってることをいわゆる普通の人たちがどう思ってるかということをたくさんの人に 訊いてみたかったので、仲間でスーパーマーケットとか駅前に行ってアンケートをし ました。普通の人たちにどうしても訊いてみたかったので、これは1,000人近い人に 訊きました。
>  最近、9月に吉野川の土手を利用してる人たちから3日間、夕方の時間帯だけで 150人ぐらいに訊いたんですけど、「吉野川の河口のどんなところが好きですか」と か「東環状大橋の計画を知ってますか」というのを一番利用してる人たち、一番近い と思われる人たちに訊いたんですけど、そういう人たちですら「知らない」と言う人 が半分近くいるというのにはちょっとびっくりしました。
>  これは徳島市内で夏休みに大体300人以上の人に、こういう場所に架かるんです よということをご説明したんですけど、ここでもやっぱり半分ぐらいの人が「知らな い」と言う。知らないということに私たちはすごくびっくりしたんです。
>
> [清野]
>  ざっと井口さんが思ってきたこととか調べたことの一端をご紹介したんですけど も、この資料集の中にも実証的に調べてみたり訊いてみたりしたプロセスが載ってい ます。こういう活動がきちんと評価されないというのは本当におかしくて、きちんと 公の場でみんなが納得できるようなことで議論をすることが必要なんじゃないかなと 思うんです。「井口さんたちはこの問題に気が付きながらなんで今までずっと黙って たんだ」という話はあったんですけども、それは彼女が一般の人たちにとにかくもっ ともっと知って欲しいという活動から始まっていて、「公共事業反対」と言っちゃう とびっくりされちゃうんじゃないかという迷いもあったのかなと思います。
>  これからは石井先生のお話にあったみたいに、そういったことがきちんと議論さ れるような世の中になっていかなければおかしいし、そのための市民側の調査として は充分質の高いものがあると思いますので、今後それをどういうふうに議論していく かということはパネルディスカッションでもお話ししたいと思ってます。
>  私の吉野川河口干潟の重要性とかポイントにつきましてはレジュメの中に書いて ありますので機会がありましたら読んでください。
>  井口さんにこういう活動を続けていただいて、この中で行っておられない方がい らしたら観察会でぜひ体験してください。
>  今日のシンポジウムの副題の「こんなに美しい空と風があることを世界に誇りた い」というのは、ほんとに胸がきゅんとするような副題です。ぜひそれも加味して河 川だとか道路だとか都市計画というのをやっていただけたらと思います。
>  ありがとうございました。
>
> [司会]
>  ありがとうございました。
>  続きまして、「吉野川河口干潟の保全の意義」。花輪伸一さんよりお話しいただ きます。花輪さんは現在、WWFジャパンで自然保護室主任をされております。干潟の 保全、沖縄の自然保護、地域NGOとの共同活動などに取り組んでおられます。以前に は日本野鳥の会にも勤務されておりました。
>  では花輪さん、お願いいたします。
>
> [花輪]
>  皆さんこんにちは。花輪と申します。
>  今日、私は吉野川がなぜ大事なのか、河口の干潟を守るとどんないいことがある のかということについてお話ししたいと思います。
>  河口域がこんなに広い所はおそらく日本でも一番目か二番目ぐらいだと思いま す。1,300mぐらいあると思います。日本の大概の大きな川は上流に大きなダムができ ちゃって水が少ないもんですから、川の幅が非常に狭い所が多くなってる。それに比 べてこの吉野川はすごくいい環境が残っている。
>  中洲の形がこんな恰好してるんですが、もう皆さん見慣れた風景かもしれませ ん。非常に広々として、写真に収めようと思ってもなかなか一枚には入らないぐらい 広い所です。
>  こういった干潟がなぜ大事なのか。世界的にも干潟を守ろうという運動がすごく 進んでます。なぜ干潟を守るのかというと、一つはいろんな生き物がたくさん棲んで るということですね。もう一つは、魚の子供が育ったり貝やエビが育ったりする。漁 業の振興にとっても干潟というのは非常に大事な所なんですね。それから水をきれい にしてくれる。陸から流れてきた汚れた水を干潟の生き物がきれいにする。それから たくさんの渡り鳥がやってくる。渡りの途中で休息したり食べ物を食べたりしてまた 旅立っていくということです。それから最近では環境教育。学校の総合学習の時間に 自然や生物について学ぶ。そういうのによく利用されているのが干潟です。それから レクリエーションの場としても活用されてます。潮干狩りをしたりバードウォッチン グをしたり観察会をやったりということですね。
>  ここ10年間、生物の多様性を守ろうということが叫ばれています。キーワードと して、「地球の環境を守るためには生物の多様性を守らなきゃいけないんだ」という ことですね。いろんな生き物がいるということです。目に見えないバクテリアとかプ ランクトンですとか珪藻ですとか海草、いろんな植物もいればゴカイやカニや貝の底 生生物もいる。それから魚がいる。鳥がやってくる。人もそこにいる。ということで いろんな遺伝子があり、いろんな種類がいて、生態系も非常に多様だと。これが干潟 の持つ非常に大事な面の一つです。
>  なぜ生物がいっぱいいるのが大事かと言うと、一つは資源として将来人間の役に 立つものがあるかもしれない。おそらく吉野川の河口干潟でも薬にするためのバクテ リアや細菌がいないかと製薬会社の人が探したりしているかもしれません。昔は食料 として非常に重要な湿原だったわけですね。今では遺伝子資源として何か有用な薬品 が出るんじゃないかと[?]されているわけです。
>  それから魚。河口域の干潟で魚の子供が育ってそれが沖合に行って大きくなって 帰って卵を産む。というふうに持続的に繰り返し繰り返し魚が育っていく。それを人 間が利用できるという意味で河口域の干潟は大変重要な役割を持っているわけです。 >  それから水質浄化。陸上からはいろんな汚れた水が流れてくるわけですね。家庭 雑排水といったものがみんな海に流れてくるわけです。流しすぎると川も汚れますし 海も汚れる。しかし海にやってくると干潟にいろんなバクテリアがいるしプランクト ンがいる。そのプランクトンをエビが食べる、カニが食べる、あるいはゴカイが食べ る。そういう生き物を鳥や魚が食べる。そういう魚を鳥や人が捕ってこれをもう一回 陸に持っていくわけですね。ですから陸上からいろんな汚れが流れてきて干潟できれ いにされて、ものによってはまた陸上に戻される、というふうに干潟というのは非常 に重要な役割を持っているわけなんですね。ですから干潟を守るということは環境を きれいにするという意味合いも持っているわけです。
>  干潟の浄化能力、どのくらい水をきれいにするかというのを水産試験場の研究者 の人たちが調べてみたことがあります。これは三河湾の一色干潟という所で測ったん ですが、10平方kmぐらいの干潟で大体10万人分の下水処理能力を持っているというこ となんですね。その10万人分の下水処理をするために下水処理場をつくったり配水管 を敷いたりするとどのぐらいのお金がかかるかというと、878億円という計算結果が 出てるんですね。ですから大きな干潟があれば人口10万人ぐらいの街の下水処理がそ れで賄える。ところが日本では干潟を潰しては、一方で高いお金を払って下水処理場 をつくるという、あまり利口じゃないやり方をしてるわけですね。
>  それからもう一つ干潟の持つ大切な役割として渡り鳥がやってくるということが あります。今ではやってくる渡り鳥の数が少なくなったので捕まえて食べるというこ とができなくなったわけですけど、昔は渡り鳥は大事な資源で食料になってたわけで す。今では教育の教材として、そういう意味では大事な資源であることには変わりな いわけです。
>  吉野川の河口干潟にやってくるホウロクシギというカラスぐらいの大きさのシギ がいます。それからトウネンというスズメぐらいの大きさのシギもいます。こういう 鳥たちはアラスカやシベリアの方で巣をつくって、冬になると日本に渡ってくるわけ ですね。ここで一冬過ごして、春になると帰っていく。それから日本を通り越して オーストラリアまで行っちゃう渡り鳥もいます。こういう鳥たちは春と秋の2回、日 本を通過する。そのときに吉野川の河口干潟にやってきて、そこでゴカイとかカニと かエビを捕まえて食べて、それから一休みをしてエネルギーを補給していくわけで す。
>  ですから吉野川の河口干潟が無くなっちゃうとそこを利用していた鳥たちは非常 に困るわけですね。国際空港を急に閉鎖したようなことになってしまいます。例えば 成田空港を工事のため閉鎖しちゃったら飛んでくる飛行機はどうするかというと、羽 田に行ったり名古屋に行ったり右往左往するわけですね。だけど結局は飛行機の数を 減らさないともうやっていけなくなります。吉野川河口干潟も同じですね。環境が悪 くなったりして鳥の数が減ってしまうということになります。
>  干潟ではシギ・チドリ類が代表的な鳥ですけども、嘴が長いやつから非常に短い やつまでいて、これは干潟の泥の中の生き物を捕まえるためにこんな形になってきた んですね。嘴の長いやつは泥の中にいるカニを食べる。嘴の短い鳥は干潟の表面にい る小さな貝を食べたりエビを食べたりする。こんなふうに何億年もかけて進化してき たわけです。
>  干潟は小学校の総合学習の時間に最近よく使われるようになりました。干潟に 入って泥の中の生き物を探す。これはやってみると本当に楽しいんですね。子供たち はもうこれにはまっちゃって大喜び。渡り鳥が遠くの外国からやってくるということ を勉強しながら自分たちの古里の干潟が国際的な繋りを持ってるということを理解し ていくわけです。
>  それからバードウォッチング。私も鳥を見るのが大好きで、特に干潟に行ってシ ギ・チドリを見るのが好きなんですが、趣味としても、あるいはレジャーとしても バードウォッチングをする人口が急に増えてきました。そういう意味でこの広々とし た干潟で鳥を見るという楽しさを理解する人が非常に増えてきたわけです。
>  こういった干潟を大事にしようという国際条約があります。「ラムサール条約」 という片仮名の名前が付いてますけども、これは1971年にイランのラムサールという 所で取り決めが行われたのでそう言われてます。これには日本も入ってますし、いま 世界で133ヶ国が加盟しています。
>  ラムサール条約では「湿地」と言ってますけど、これは川とか湖、干潟あるいは 浅い海、それから水田ですとか養魚池、貯水池といったものも守る対象になってるん ですね。なんで湿地を守ろうとするのかというと、湿地から得られる恵みというのは 人間にとってかけがえのないものなので、それを賢く使っていこうということなんで すね。生態系の自然特性を変化させない方法で人間のために湿地を持続的に利用する こと。漁業生産のあがる干潟は次の世代にもその次の世代にも伝えていこうという意 味合いです。そしてラムサール条約に加盟した国は最低1ヶ所登録湿地をつくらな きゃいけない。日本では13ヶ所登録湿地があります。まだ四国・九州地方には無いん ですね。
>  同じラムサール条約の中で、シギ・チドリ重要生息地ネットワークというのがあ ります。これは東アジア・オーストラリア地域の国々が10数ヶ国加盟していて、干潟 にやってくる渡り鳥を保護しよう。それを国際協力でやりましょうということで、加 盟した国は自分の国の中で大事な干潟を指定します。日本はいま5ヶ所ありますけど も、1996年に吉野川河口干潟が真っ先に加盟したわけです。外国でもたくさんの干潟 を登録してます。そういう重要な干潟だから1995年にロシアとオーストラリアの研究 者がやってきて、日本のバードウォッチャーとともにこの河口干潟で探鳥会を開いた り鳥の数を数えたりしたわけです。
>  ラムサール条約に入ると何かいいことがあるかというと、やっぱり国際的に重要 な湿地として世界中から認められるということなんですね。そして条約に基づいた取 り決めでもって、干潟を守っていくためのいろいろな方法が紹介されたり、それを勉 強して実際の干潟の管理に使っている。そういういいことがありますし、ビジターセ ンターをつくったりして野外博物館としても使える。総合学習とか公民館の生涯学習 なんかにも使っていける。それから新たなビジネスチャンスが生まれてくる。自然に 負荷をかけない、過剰に利用しない範囲でもってビジネスが考えられていく。という ことが挙げられます。

それからアマモなどのいろいろな水草があるということで、環境省も重要な湿地だと いうことでこれをリストに載っけて保全していこうと考えているわけです。
>  そういう吉野川河口の大切さを我々はちゃんと理解して、これからラムサール条 約の登録などを考えながら保全していくことが大切なことだと思います。一方では東 環状大橋の建設問題もありますので、これに関しては多くの人に知ってもらって、話 し合いをして合意形成を図っていくということがこれから必要になってくると思いま す。それから我々があまり得意じゃない分野、河川管理ですとか流域管理、吉野川を 山から川そして海という、一帯を繋りとして見ていく管理の仕方を市民も勉強して意 見を言っていくということがこれから必要になってくると思います。
>  これでお話を終わります。オーバーしました。どうもすみませんでした。
>
> [司会]
>  ありがとうございました。
>  この後のパネルディスカッション用の皆様からのご意見用紙を係の者が回収いた します。ぜひフロアからパネルディスカッションに参加するという形で、ご意見、ご 感想、ご質問などを買いて係の者に渡していただけたらと思います。
>  次の人形劇までしばらく準備もありますので、いまお書きくださって係の者にお 渡しくださっても結構です。ぜひ皆様も一緒にパネルディスカッションに参加してい ただく形をとりたいと思います。ご協力よろしくお願いいたします。
>
> ----
>
> [花輪]
>  まず最初に、佐藤謙一郎さんは第十堰問題では吉野川においでになってますが、 河口干潟については今回が初めてと伺ったんですが、印象はいかがだったでしょう。 >
> [佐藤]
>  東京からやって参りました佐藤謙一郎ですが、全国百数十ヶ所の公共事業を超党 派の議員でチェックをしようという会があります。毎週のように北は北海道から南は 沖縄まで走り回るわけですけれども、今日、私は初めて河口干潟を見ました。その大 きなスケールにまずびっくりしました。干潟というと、諫早干拓の有明海、それから 千葉の三番瀬がいま大きなテーマになってます。
>  いま日本で守らなければいけない干潟はいくつもあると思いますけれども、沖縄 の泡瀬干潟は自由貿易地域という所の航路を浚渫した土砂を捨てる場所がないという ことで、あんなに貴重な干潟が一瞬のうちにいま埋め立てられようとしていて、これ はなんとしてでも国民的に守らなければいけない。
>  もう一つはやはり吉野川の河口干潟だと思うんです。汽水域、川と海とのちょう ど混じり合った所に非常に大きな波が立っていて、そこの音を聞いてるだけでも、な にかじーんとくる素晴らしいものがある。私はこの干潟を見に伺って音を聞かされた ときに、なるほどと思いました。そこに橋が架かって、そして自動車が行き交う。五 感で感じられる最も大切なものがあっという間に捨て去られてしまうことの悲しさと いうものを改めて感じたんです。
>  10月に東京でこうしたシンポジウムをやりました。数百人のものすごい熱気でし て、地元ではまだやってないということで、井口さんが「ぜひ見に来てください」と 言って今日に結び付いて大変嬉しいんですけれども、地元にある最も大切なものがま だ充分理解していただけてないということを、この2時間の間に少しでも分かってい ただければと思います。
>  去年、自然環境権という権利を環境基本法の中に明記すべきだという請願が通り ました。自然環境権とはどういうことかというと、日本国中すべての国民が自分に とって大切な自然の計画[?]を享受する権利。今までは徳島の人たちがこの吉野川の 河口干潟は大事か大事じゃないかと判断してたわけですけれども、日本中の誰もが 「これは日本、いや世界にとって大事な自然なんだ」と手を挙げる権利が伝わってい く時代がいま来ようとしています。
>  道路をつくるというのも大事な行為かもしれませんけれども、それによって失わ れるものがどれだけ大きなものかということを、ぜひとも感じ取っていただきたい。
>
> [花輪]
>  はい、ありがとうございました。
>  野鳥の会の曽良さんは、もう長年探鳥会を続けておられると思いますので、曽良 さんの目から見た河口干潟への思いを教えていただければありがたいです。
>
> []
>  ええと、持ち時間は何分ですかね?
>
> [花輪]
>  4分ぐらい。
>
> []
>  吉野川河口では一つ大きな航空メイキングがありました。ホウロクシギというニ ワトリぐらいの大きさで嘴が長い鳥が、毎年地球的な渡りをやってるわけですね。4 年前の3月21日に吉野川河口で発見された一羽の背中発信機が付いてあったんです ね。日本政府とオーストラリア政府がこのシギたちの渡りを調べるために協力をして オーストラリアの東海岸で発信機を[雑音]発見して野鳥の会の本部で報告をしたわけ なんです。それと同時に地球を回ってる人工衛星からも発信があって、本部の方も キャッチしているということが後に分かりました。
>  その経路を調べてみますと、オーストラリア東海岸を発ってからボルネオ辺りを 通過して日本にやってきたわけですが、私たちはそういうシギたちはおそらく島伝 い、あるいは大陸の岸を伝って海岸伝いにやってくるんだろうと思ってたわけです。 ところがこの結果を見てみますと大変なことをやってるということが分かったわけで すね。オーストラリアを発ったそのホウロクシギは4日間、大体時速50kmで飛び続け て、太平洋を貫いて日本にやってきてるんですね。それが私はほんとにびっくりした んですけどね。おそらくまっすぐ飛べなかったと思うんですね。レーダー[?]も何も 持ってないですし、あっち行ったりこっち行ったり、かなり風に流されながら日本の 吉野川を目指してやってきたんだと思うんです。今までのデータでは、オーストラリ アから出発したシギは香港辺りに来るときには体重が半分ぐらいに減ってるんだそう です。そのくらいエネルギーを使ってやってくるんだそうです。
>  もしそのホウロクシギが吉野川河口を見つけられなかったり、吉野川河口に着い たもののそこが全然餌のとれない状態になってたりした場合、どこへ行けばいいで しょうかね。大阪湾辺りも昔は餌をとる場所がたくさんあったんですが、今はもうほ とんどありません。東京湾もほとんど無くなってしまいましたしね。もう近くに行く 場所が無くなっちゃう。彼らにとっての国際空港は吉野川河口なわけですね。そこが 潰されてしまうと、おそらく体重が半分に減ってしまったシギはもうエネルギーは 残ってないです。つまり飛行機で言うとガソリンがほとんど無くなってしまった状態 ですね。次へ行くだけのエネルギーをたぶん持ってないと思います。例えシベリアま でようやく辿り着いたとしても、そこで繁殖をしなきゃいけませんから。皆さんもご 存じのように、繁殖の終わった方もたくさんいらっしゃると思うんですが、繁殖とい うのはかなりエネルギーかかりますよね。そういうエネルギーが残ってなければ、 せっかく着いたものの野垂れ死にということになってしまいますね。
>  ということがありますので、吉野川という所は非常に重要な位置を占めてるとい うことがその一例からもお分かりいただけたと思うんです。
>  私たちはここに住んでて吉野川を毎日見てるわけですが、人間の漁業のために大 切な場所であるとか浄化作用をしてくれるということ以外に、鳥たちにとってもただ 一つのかけがえのない場所であるということを分かち合えたらなと思ってます。以上 でございます。
>
> [花輪]
>  はい、ありがとうございました。
>  フロアの方からの意見も、「徳島県の宝」、「あまりにも近くにありすぎたため に見失っていた」、「一部の人たちだけに任せるのではなくて、一人一人が真の意味 で『吉野川河口干潟を考える会』に参加していく必要を強く感じます」、このように 河口干潟に対する思い、そして今まで身近過ぎてあまり気が付かなかったという意見 がだいぶ寄せられています。
>  フロアの方で河口干潟についての思い出、短くお話しできる方おられますか。な ければまた後で伺いたいと思います。
>  「第十堰、河口干潟を始めとして世界の人々に自慢できるいい資産があることを 徳島の人々はもっと自覚して欲しい」。これはフロアの方からの意見ですね。
>  それでは河口の大切さについて姫野さんに伺いたいんですけども、第十堰でご活 躍されて今度はずっと下流域の干潟のことなんですけれども、川の繋りという点から 見て、河口干潟を姫野さんはどのようにご覧になってるんでしょう?
>
> []
>  姫野です、こんにちは。
>  河口干潟周辺の景色は徳島市民の古里の代名詞のようなものです。3年近く前に 徳島市で住民投票が行われました。そのときのポスターの図柄がまさにあの吉野川の 河口なんです。その風景を見ると「ああ、自分は古里に帰ってきたんだな」と、そう いう場所なんですね。
>  第十堰の問題に10年程取り組んできまして、だんだんと県外に知られるように なって、全国からたくさんの人が吉野川にやってきて、みんながまず驚くのがあの河 口部なんです。「こういう所に住めて幸せだ」とみんなが言うんですね。
>  現実に、住民投票が終わった次の年の徳島市の職員の応募のほとんどが県外の若 者でした。彼らに訊いてみると「住民投票をしてまで守ろうとするぐらい素晴らしい 自然がある。そういう街で自分は仕事をしたい」、それから「市民が立ち上がって国 の方針を変えさせるような地域は素晴らしい」。つまり自然を自分たちの手で守って 現実にそれを実現していくということの中に、これからの地域のありようの一つがあ ると思うんですね。その素材の一つが第十堰。もう一つの素材は間違いなく吉野川の 河口周辺。その河口干潟がどれだけの価値があるのかということについての科学的な 見解、住んでいる人たちには分からないけれども外から見たら分かることがたくさん あります。問題は、それをどうやったら自分たちがつかめるのか。これはここに暮ら してる私たちの問題だと思います。
>  もう着工するかもしれないという時期ではあるんですけれども、これから徳島の 将来を何をもってつくっていくのかという素材として、ぜひこのシンポジウムがきっ かけになったらいいなと思います。
>
> [花輪]
>  はい、ありがとうございます。
>  干潟自体の大切さだけではなくて、それを取り巻く人々の大切さも切っても切れ ない自然と人間の関係だと思います。ところが自然環境に関わる問題として東環状線 の建設という差し迫った問題があるわけですね。確かに我々は気が付くのが遅かっ た。あるいは気が付いていても行動を起こすのが非常に遅れてしまったという反省は あるんですが、やはりここでもう一度東環状大橋あるいは道路事業といったものにつ いて我々自身が考えてみる必要があると思います。
>  先程、石井さんから東環状大橋の概要を説明していただきましたが、この計画に 関して一般の方々はどのような反応を示してきたんでしょうか。昭和60年にパーソン トリップ調査の結果から構想が出されて、一般の方々はこの時点からもうこの橋の問 題に気が付いておられたんでしょうか。
>
> [石井]
>  いや、ほとんど気にしてなかったと言っていいと思います。野鳥の会が先程申し 上げたように、「これは重要な干潟を跨ぐ橋なので問題だ」ということで最初に取り 上げましたけれども、その他にはほとんど反応は無かったですね。ただ、県が現地説 明会をされたときに現地の方は行かれてると思う。それはどうしてかと言えば、道路 が付きますので立ち退きを迫られるというのがありますので、そういう人だけが行っ たという感じだと思います。我々も[?]さんの方からいろいろと要望をもらってたん ですけども、手が回らなくて最初から一緒に行動するということはできなかったとい うことです。
>
> [花輪]
>  はい、ありがとうございます。
>  きちんと]この計画が立てられて行政の中で一つ一つ丹念に進められてくるわけ ですね。県の立場から言えば、「なんで着工直前の今頃になって自然保護団体が横槍 を入れてくるんだ」というお考えもおそらくおありではないかと思います。
>  そこで要さんにお伺いしたいんですが、先程のアンケートでもこの問題について 知らなかったという市民が多いという結果が出てますし、また石井さんからも「動議 的にしかしらなかったんではないか」というご指摘があるんですが、県としては広報 というか知らせるための道具というのは具体的にはどんなふうに考えたんでしょう か。
>
> [要]
>  徳島環状道路と言いますか外環状道路の構想は、57年から60年にかけて行った パーソントリップ調査の中で主目的として環状道路の構想が公表されました。当面は 計画を具体化するにあたって都市計画決定という作業がございましたが、都市計画決 定するにあたっては説明会等もやりましたけども、その前にルート等の概要を書いた リーフレットを説明会の案内として13万部を新聞の折り込みにしました。徳島市の人 口は26万人ぐらいですのでほとんど全戸に渡るぐらいの数です。それで平成6年8月に 市内の7会場で事業説明会を行っています。それには1,250人ぐらいが参加しました。 >  計画の案の段階で縦覧も行って住民の方々の意見も頂戴いたしました。その辺は いろんなご意見がございました。確かに先程から野鳥の会の方が言っておられますよ うな「トンネルにしてはどうか」というご意見もありました。そういったご意見は都 市計画審議会に住民の方の意見として提出して審議していただいています。
>  都市計画決定以後、二次的な設計も行ってきましたが、橋梁形式の工法を決定す るにあたっては技術検討委員会という公開の場で議論していただいて、このパンフ レットにありますような構造に決まったわけなんです。
>
> [花輪]
>  ありがとうございます。
>  行政の場合にはとにかく法律に従ってやられてることはほぼ間違いない。ただそ れを地域住民なり環境団体が知らない場合が多い、ということが全国どこに行っても あるんですね。この辺のギャップが相当大きな問題になるんだろうと思います。井口 さんは多くの方々が知らないと言っている原因は何だと考えてます?
>
> [井口]
>  私たちがアンケートをしたのは、私たちが当たり前のことを当たり前に私たちが いっているんだろうかということが一番だったんです。それというのは情報がほとん ど出てなかったんです。県庁の中を駆けずり回っても、出てくる情報が少ないという のにはびっくりしました。情報を集める段階でものすごくエネルギーを使って、全容 を知るまでかなりの時間をかけてしまったというのがあります。
>
> [花輪]
>  そうすると行政の方々が出す情報と住民や環境団体が必要とする情報には非常に ギャップがあって、重要なことをなかなか手に入れることができない。佐藤謙一郎さ ん、いかがでしょう。国会議員の立場でもそういうことがあるかもしれませんが、ど うでしょう。
>
> [佐藤]
>  はい。私どもが全国を回ってみても、実は環境問題じゃなくて結局はどれだけ住 民参加あるいは市民参加が果たせているのかという民主主義の問題なんですね。です から、おそらく県の要さんにしても干潟が大事だということは分かっていただけて る。まあそれだけに苦悩に満ちた表情をされてるんだと思うんですけど。
>  ちょっと井口さんに訊きたいのは、1994年に大きく新聞に出てるわけですよね。 私の聞く限りでは、トンネルにしたらどうかという議論もあって結局それは技術的に だめだったんだけれども、あれから7、8年経ってるわけですよね。その間に市民の側 からいろんな提言あるいは提案ができたはずだろうと思います。
>  行政というのは手順だけは尽くした形はとっているけれども、今も説明会を7会 場でやったとか13万部の折り込みをやったとか、確かにそれは手続・手順としてやら れてはいても、どれだけそれによって多くの人たちに効果的に知らしめることができ たのかというところまで行っていないからこういう問題が起きてしまうと思うんです ね。
>  この間、国土交通省の幹部の方と公共事業とは何かと議論したときに、「我々は 必要性と効率性の二つを頭に入れて前に進んでいるんだ」と。確かに道路は必要かも しれません。効率性というのは費用対効果ということです。そこには環境ですとかそ れによって失われるものというのは全くその二つのセクターには入っていないんです よ。
>  環境というものの価値。さっき言ったように1haあたり5千万円の浄化作用がある とかいろいろ癒されるとかいうことも含めて、それによって失われるものやつくらな くても得られるものが充分にあるにも関わらず、今の公共事業の仕組みでは行政評価 法という法律を変えない限り、河川法には住民参加と環境の保全というのが入りまし たけれども、他の法律の仕組みにはほとんどそういうものができていない。だから必 要であって費用対効果が満たされればどんどん前に進めていいんだという法律や制度 そのものに問題があるんじゃないかな。これはなにも徳島県だけの問題じゃなくて全 国至る所でそういうことにぶつかってます。
>  そんな中で市民の側がいち早く気が付いて手を挙げない限り、表に出なければ出 ないほど無くなっていくという公共事業がごまんとあるわけですから、事前評価と事 業中の評価と事後評価とありますけれども、環境というものが書き込まれているのは 事後評価だけなんですね。だから事前も事業評価もしっかりとそうした市民の側に 立った視点で公共事業というものを見据えていける制度をつくっていかなければいけ ない。これが我々国会議員の責任だと思っております。
>
> [花輪]
>  ありがとうございます。
>  なんか結論が出たという……。それはさておいて、清野さん、河川にしろ海岸に しろそれぞれの法律に基づいてそれぞれの所管官庁が[?]的なことをやってるわけで すけども、環境の面から見た海岸・河川の管理の仕方というのはやっぱり足りないと ころがあるんでしょうか。
>
> [清野]
>  環境管理だとかそのために何をやればいいかということがほとんど興ってってな いということが現状だと思います。
>  今日も河川の管理者の方がいらっしゃってますけれども、治水とかそういった水 の量とかで測れるようなものについては河川工学にも積み重ねてきた世界というのが あって、第十堰の問題というのはそれがローカルの川に適用したときにおかしいん じゃないかというところから始まってたと思うんです。ですから治水の問題も議論も できるんですけども、環境そのものになると河川法が変わってほとんど何も進んでな いんですね。研究者だけではなくて国土交通省だとか各県の方も河口のトラブルが多 いものですから、どういうことがトラップになってるのかを今から整理しようという のが現状なんです。
>  海岸はもっとひどくて、「日本が本当に先進国かどうか分かんないです」と言っ てたのが日本の海岸にある堤防の距離だとか岩でシセツと言ってるものの数字がきち んと出てるんですが、「砂浜がどのくらいの距離あるの?」とか「磯って距離持って るんだっけ?」と言ったときに曖昧な数字があって、河口というのは河川管理者に とってはもうどん詰まりで、自分の管理の端っこの所、それから海岸というのは何か 問題があればやるんだけどもそうでなければ堤防をつくって終わりという場所だった ので、管理が手薄になっていたということがあると思います。
>  ところが佐藤さんがおっしゃったように制度としては法の中できちんとやりま しょうとあるんですけども、具体論のところはまだ事例が無いということがあって、 それをつくっていくということだと思います。吉野川に期待されるのは、法は変えた だけじゃ魂は入らなくて現実の川や海岸や河口に適用されないわけですから、そこを 一生懸命やっていただくというのがあると思うんですね。
>  公共事業のことに関して言うと実は私、昨日千葉県の房総のわずか1kmぐらいの 海岸の合意形成会議の最終回の締めをやって帰ってきたとこなんですね。最初にやっ たときにはすごく県の職員の方とかも緊張されてて、「なんでこんなにいろいろやっ てたのに直前になって反対が出るんだ」ということで大騒ぎだったんです。反対され たサファーの方も地域の方にちょっといじめられたとかいうことがあったんですけど も、3年間一つの海岸について計算をし直したりとか地元の方がどういうふうにそこ を使って大事にしてるかというのを丁寧に調べたら、ずっと喧嘩してたような状態 だった行政側とサーファーの人と地域の人が最後に同じ思いを持つことができたとい うのが本当に感動的だったんですね。
>  今日も土木の方とかがたくさんおられて、あれだけやってきて最後の最後にそれ を覆されるというのは、たぶん芸術家の人が絵を描いていて最後にインク壺こぼし ちゃったとか黒く塗っているような状態だと思うんです。それはやっぱり制度的な問 題があったし情報の出し方とか受け止め方もあって、従来型の反対運動もあるかもし れないけどもそれはなかなかしんどいと思うんですよ。さっき井口さんがちらっと おっしゃったように、行った人がなかなか言えないような状況がある中でどういうふ うに伝えるかというのは、十分しなきゃだめなんだとしたら死んじゃう海岸や河口は たくさんあるんです。だけどみんながきちんと伝えられてそれを聞いてもらえるよう なシステムができたらたくさんの所が救われるんで、それをぜひ伝えたいと思うんで す。
>
> [花輪]
>  はい、ありがとうございます。
>  東環状大橋に戻しますが、これがいま吉野川河口干潟にとっては非常にホットな 問題になっている。そして会場からの質問にも結構多くはあるんですが、「橋の必要 性は高いものなのですか?」、「代替案は無いのですか?」という質問があります。 交通渋滞の解消が一番大きな目標になっているわけですが、費用対効果の問題も指摘 されていますね。工事の総額とそれによってどのぐらいの効果が期待できるのか。交 通渋滞を解消するという効果。当然自然環境はマイナスになる。それをどう評価して いくのかという質問も混じっています。
>  言わば公共事業のあり方、その必要性、あるいは便益]性、つまりとりなおそう ということだと思います。費用対効果の面は石井先生はどのようにご覧になってます ?
>
> [石井]
>  費用対効果という点では私は素人なのでちょっとよく分かりませんけれども、代 替案については私なりの案はありますし、県から私どもの質問に対していただいた回 答を基にして考えてみても「この橋はおかしいんじゃないか」と思う点はあるんです よ。たださっきちょっと言いましたように基のデータがちょっと分からないところが あるので、確実にそうだとは言えないところもありますけれども、「おかしいんじゃ ないかな」という気は非常に強いですね。もしこの数値が正しいとすれば、こっちの 案でいいんじゃないかという案を私は持ってます。
>  県からパーソントリップ調査の結果を表でいただいてるんですね。それを見まし て現在考えられている東環状大橋が通るような地域、ちょうど鳴門、松茂、北島とい う市町、それから徳島市の北の東の方から徳島の南の方の東側に抜ける車の量が分か るわけです。それを計算しますと、大体1日に3万3,000台ぐらいという数になると思 うんです。3万3,000台ぐらいの車が通るということでしたら、吉野川橋という古い橋 があるんですけどもその橋を拡張してそれに繋がっている道路を整備する方がいいん じゃないかというふうに私は思ってるんです。
>  現実に橋を渡って徳島の中心部に入ってからは道路の改良がどんどん進んでま す。ただ問題はJRの踏切があるんですね。それは前から問題になってまして、高架に するという話があるんですけどもこれは要さんの部門で扱われる問題だと思うんです が、高架にする条件が緩和されたこともありますので、そちらの方法を使ってやれば うまく通り抜けることができるようになるんじゃないかという気がしていますので、 ぜひそちらの案を検討していただいてそれについてどう思うかというのをお答えいた だけたらありがたい。あるいはもうそれは検討したということでしたら、それの何が だめだったのかを教えていただきたいと思ってるんです。
>
> > [要]
>  費用対効果ということですが、事業費としては橋そのものには230億円ぐらいか かります。事業費として費用対的には250年と言われておりますが、橋だけの費用 対効果はもっと高くなります。それで東環状線全体の費用対効果ということで、評定 で言いますと4.2です。東環状線全体の現在価値が3,580億円になっております。事業 費は1,300億ですが、費用にかかる現在価値が858億円。※は費用から差し引かれ ますので、費用の現在価値が858億円。これを割ると費用めん益費は4.2ということに なります。
>  それとその効果なんですが、いま吉野川大橋の交通量が1日約8万4,000台。この8 万4,000台という数字は四国の中ではだんとつの交通量でございまして、よその3県を 見ましても一番多い所で5万5,6千台ぐらいでございます。
>  国道11号とか55号の現在の渋滞の状況は皆さんよくお分かりの通りでございます が、鳴門から県庁のかちどき橋まで行きますと5km進むのに30分ぐらいもかかるよう な状況で、これは12年に行ったパーソントリップのアンケートの結果なんですが答え ていただいた2万人のうち9割が渋滞対策を早く進めてほしいとしております。この渋 滞対策は道路の方法だけでなくて他の方もありますが、そのうちの8割が「道路整備 によって渋滞を緩和して欲しい」というアンケート結果もございます。徳島の渋滞な んか東京とか大阪に比べれば大したことないということもございますが、交通量だけ では判断できませんが、8万4,000台という交通量は全国でも10番目ぐらいですね。東 京・大阪でも一つの路線としてこれだけ交通量の多い路線はなかなかありません。 >  費用対効果ですけど、東環状大橋の交通量は約2万5,000台を交通量としてやって おります。それで吉野川大橋は現在8万4,000台ですが、それから約2万台ぐらい東環 状大橋の方に移行されるだろうということでございます。
>  それと石井先生が先程おっしゃられてた吉野川橋でございますが、これを拡幅し たらどうかという代替案みたいなものをお示しいただきましたが、例えば吉野川橋を 今の2車線から4車線にしても結局はまた市内の中心部の方に車が流入することになり ますのでね。今の徳島市内で渋滞が酷いと言われているのは11号とか55号とか192号 です。本町の交差点を通過する車はそこを経由しないと南の方へ行けないという状況 もあって、通過交通を迂回するような環状道路交通が一番効率的だということで考え ております。
>
> [花輪]
>  はい、ありがとうございました。
>  続いては中嶋さんに。中嶋先生はマリンピア沖洲の方もやっておられたんで、そ ういったことも勘案されてコメントいただければありがたいと思います。
>
> 「中嶋」
>  ええと、難しい注文が……。
>  一つは都市計画審議会で交通道路の設計発言なんですね。そういう意味ではそこ のところの議論の経過は分かっておりませんので一応それは尊重するしかないだろう と思います。ただ実際には、どうもそこでの審議内容について住民感情とのギャップ があるということで、その問題はやっぱり解決しなきゃいけないだろうと思います ね。ですから今の時点でも説明をきちんとする必要があるだろうと思います。
>  計画審議の中身と住民環状とのギャップはどう出てくるかというのは、たいてい の場合二つが考えられていて、一つは、例えば費用対効果でこの案がいいと出てきて る場合が多いんですけど、いくつかの案が出てきてその中から比較していくという例 はまず無いんです。大体この案がイエスかノーかという形で出てきて、最も効果的な 案が審議されていない可能性があるんですね。そういう意味では従来の審議の経過に 問題が一つあるんじゃないかと私は思います。ですから今石井さんがおっしゃったよ うな案が実際には可能かもしれないと思います。
>  それからもう一つは、費用対効果の分析というのは大事なことで、事業ですから 損する事業はやっちゃいけないわけですよね。費用対効果が4.2はさらに高いと 言ってよいと思うんですが、ただこれは事業者のよくあるパターンなんですが、事業 者としては事業をしたい。そうするとそれに合わせて資料をいろいろと調査すること があるんですね。事業の必要性を脚色するためにデータを確保するということは実際 に起こりうるんですね。
>  例えばこの前、マリンピアの沖洲計画のときも交通量予測が2万5,000台になると いう推計になってるんですね。これはおよそ考えられない推計なんですけどあり得る 推計なんですね。それが適当かどうかということをきちんと議論しなきゃいけなかっ たんだけども、それをする基盤が無かったんですね。全体としては事業を正当化する ためにケースをすごく高く掛けたりすることはあるんです。その点で「現実離れして るな」という印象を持つ可能性はあります。
> もう一つ、もっと決定的な問題は例えば費用対効果の計算の場合、環境価値を落と して計算しているということなんですね。国土交通省の場合ですともうすでに環境の 価値についてきちんと審査しなさいという取り扱いができてると思うんですけど、例 えば徳島県の場合ですと、環境の価値の問題については評価しない。それについては 評価の対象にしないという扱いをしてるんですね。この結果、環境破壊だったらそれ は費用になるわけですね。そこが落ちてしまって費用便益がよくなっちゃうというこ とがあります。
>  そういう技術的な問題があるんで、充分に説明する必要があるんじゃないかなと 思います。
>
> [花輪]
>  ありがとうございます。
>  井口さん、手が挙がってますが。
>
> [井口]
>  佐藤さんが「どうして今まで黙っとったんか」とおっしゃられたんですけど、私 たちはあそこの干潟とか河口とかいうのは県にとっても財産やから、徳島県もそうい う所はちゃんと評価して事業を進めるだろうという一般市民の期待を持ってたんで す。それがここまできてこういうふうになったときに、「どうしてこんなことになっ たん?」っていう……。私らはさっきの人形劇のおばさんが言ってたような話を県の 人にしても納得いく答えが「うん?」っていう、「ちょっと、ちゃあうんと、ちゃあ うん。」ていう徳島県のそういうふうなことがずっと続いてきたんです。だから私た ちは県に対して意義を唱えて反対運動を起こすために通っているわけじゃなくて、自 分たちが生活しながら納得できるものをちゃんとお示し下さいというお話をずっとし てきたんです。
>  54ページを開いていただけますか。さっき要さんが「2万5,000台が東環状線に流 れるんじゃないか」というお話だったんですけど、環状線というのはぐるっと回る事 業なんです。だから東環状線、橋を越えて新浜を越えて南環状線を越えて第十の所に 橋が架かってという環状線が開通した暁には、県庁の前の8万4,000台という車が6万  4,000台になって、1万7,000台減りますよという説明だったんです。
>  だから私たちはぐるーっとその工事をやって何十年後かにそういうのをやった暁 にはこれだけの交通量が減りますよっていうことで、「それなら橋とか東環状線とか だけだったらどれぐらい緩和されるの?」とか。それから「市内の朝夕の渋滞はこの 東環状線が開通するときにはどれぐらい緩和されますか?」とかいうことがまだまだ 納得いくようなデータをいただいてないんです。生活者の皆さんはよくそういうふう に話をするんですけど、「ほんとに渋滞って緩和するの?」とかそういう我慢が出来 ないの、というところまで私たちは話をしてるんですけど、そういうのを県の皆さん とお話がなかなかできないというのがあるんです。
>

> [花輪]
>  どうぞ、佐藤さん。
>
> [佐藤]
>  実は、全国どこもそうなんですよね。いまお話にあったように「まさか県はこん なことはしないだろう」という思いでずっと見守っていると、ある日突然行政に都合 のいい数字が出てきてしまったりするわけですね。この4.2の3,580億という数字も、 本当にこの道路計画が実現すると徳島市民はそんなに素晴らしいお宝を得るんだろう かということを考えると、その根拠になるものをやっぱりきちっと市民団体に示して いただきたい。
>  それと同時に環境の価値。さっき中嶋先生が「国土交通省はその辺をしっかりや られてる」という話でしたけれども、実はガイドラインも何もできていないんですよ ね。現実に国土交通省の公共事業の中心の若手官僚と議論してても「そこが実は悩ま しいんです」と。専門的なんですけど、「Bに入れたらいいのかCに入れたらいいの か、環境のそうした問題をどういうふうに扱ったらいいかは、入れなければいけない ということは分かっているけれどもそれをどういうふうに方程式の中に入れたらいい か自分たちでもいま検討中なんです」というお答えですから、まして都道府県では自 分たちがやりたいそういう工事は投資に比べてこんなに効果があるんですよという話 になってしまう。どこへ行ってもその説明が親身になされていない。
>  ですから情報公開というのが前提になっちゃいない。本来皆さん方の情報をお役 所がダムのように抑えちゃってるところにこうした問題や行き違いが出てきてしま う。仮に県が考えていることが正しいとしても、そういう住民にきちっと伝えておか なければいけない情報を抑えているということをしていれば、どんなに正しい主張も それは間違った答えだと我々は判断せざるを得ないですよね。それに対する反論も きっとあると思いますけれども、そうした市民の方々が聞きたいものがこのシンポジ ウムをきっかけに出してもらえるかどうか、そういうところを見守っていきたいと思 います。
>
> [花輪]
>  はい。じゃあ要さん、続いてどうぞ。
>
> [要]
>  費用対効果のことにつきましては資料の56ページに載っておりますが、ここは概 略しか載せていただいておりませんけども、これ以外にもご要望のあった石井先生に はもうちょっと詳しい資料をお渡ししているんで。確かに道路の費用対効果あるんで すね。便益としては道路ができることによって時間が短縮できるという時間便益とか 走行経費が安くなるとか事故が減少するとか、そういった生活費に換算しやすいもの しか今のところ示されておりません。
>  確かに環境の価値とかいうものもいろいろ考えてられる部署はありますけども、 実際的な便益だけで、じゃあそれが経済的にどんな波及効果があるのかまではなかな か出せないんで、そういう便益までも出せてないと。おっしゃるように環境の価値を どう評価するかというのは、なかなか確立されたものがございませんのでそういった 便益しかお示しできないんですけども、今後、費用対効果といいますかそういった便 益も今後十分検討なされていくほうが私ども事業者としてもやりやすいと思います。 >  それと中嶋先生がおっしゃられてましたが、「事業者は事業をやりたい」と。私 はやりたくてやってるんではないんです。県民の皆さんからの要望があって、道路を やることが県民の皆さん方の利益に繋がると私は思ってやってますので、事業者は事 業をやりたくてやっているんではないんで、そこだけちょっと穏やかにして]いただ きたいと。
>
> [花輪]
>  その辺の関係どうなんでしょう。中嶋先生、どうぞ。
>
> [中嶋]
>  僕も表現がまずかったかもしれませんけど、言いたかったことはこんなことなん ですね。私もいろんな県の職員と議論してるんですけども、「私はこういう事業をす る」と一生懸言うんですね。だけども「あなたは公務員じゃないな」と思うんです。 公務員というのは住民の意見を体現してそれを事業にする人なんですよね。県民に対 する奉仕というのが公務員の仕事だと思うんですね。そういう意味で住民の意見を取 り入れてきちんと事業をしているかというと、僕はそれが見えないんでちょっと挑発 的な表現をしたんですね。失礼しました。
>
> [花輪]
>  はい。姫野さん、どうぞ。
>
> []
>  少し確信に触れてきたような気がするんで一言言いたいと思います。
>  行政はやりたくてやっているわけじゃない。公共事業というのは本来そうなんで すね。「行政がやりたいからやっているわけじゃない」、これは建前です。けれども 問題が起こるケースのほとんどが住民の期待ないしは希望と違う事業であるというと ころから出てるんですね。これは実際のプロセスからいうと一応そういう手順を踏ん でいるのに問題が起きる。だから違うと。
>  特に第十堰の可動堰の問題。10年前にシンポジウムをしました。そのとき会場 でアンケートとったんです。「可動堰計画知ってますか?」。35%が知らないんです ね。可動堰計画に関心持って集まってる人が知らなかった。井口さんがアンケート調 査をやって「知らない」が44%。ところが要さんの方はすでにそういう形で大きく新 聞報道もされてるんですね。「知らないというのは関心が無いだけじゃないか」とい うふうな言い分もあると思うんですね。
>  なぜこういうことが起こるのかということなんですけれども、市民が関心を持た ない決定的な原因は、市民が関心を持てないような形の情報しか出さない。こういう 決定的な理由があると思うんです。それはなぜかと言うと、やりたくてやっているわ けではないかもしれないけれども、いったん動き出したら絶対やり通すというふうな 体質が行政にとっての公共事業なんですね。
>  ですからそれに対して障害になるような事態は少しでも排除する。そういう形で 情報が扱われる。したがってもし本当に知らされれば関心を持つはずのテーマでも関 心を持てない。したがって情報が伝わらない。このことがこれまでの公共事業に共通 のパターンだったんですね。
>  それをどう変えていくのか。もしこれを変えていかなければ同じような抜け道が できるに違いありません。しかも大きな問題は公共事業の根底を揺るがすようなこの 財政問題や地球環境問題なんですね。今まで無かったような大きな問題が出ている中 で、どうやってクリアするかというのは行政にとっても住民にとっても共通の課題な んですね。共通で取り組まないといけない。行政にしてみれば住民が関心を持って関 わってもらわなければ解決できないというところまできているわけですから、この問 題で言えば昭和60年の段階でまだ明らかになっていなかったような条件をもう一度住 民とともに洗い直していくということは本当にとれないのかどうか。もし、やりたく てやっているわけではないとおっしゃるんであれば、そういうふうな今までの時代の 転換の中で意識的であれ無意識的であれいかんと思ってることに対して一緒に考えて いくというとこまでできないんだろうか。ちょっと例をお訊きしたいなと。
>
> [花輪]
>  はい。情報公開と住民参加のテーマに入ってきたんでこのまま続けていきたいと 思いますが、要さんへの質問ということですか? 特にそういうことではないんです ね? お答えいただけるならばということですね?
>  住民の意見と行政施策の関連はナカジマさんにもぜひ訊きたいと思ってるテーマ なんですが、先にナカジマさんの方にお願いしましょう。
>
> [中嶋]
>  県の行政に住民がどう関わるかという話に限定して言いたいと思うんですけど、 これは仕組みを変えていけばいい話なんですよね。法律上では憲法とか地方治自法に 住民参加が規定されてるわけですから、住民主権をどうやって実現するかということ をそれぞれ知恵を働かせてつくっていいんですね。
>  例えばこういうケースの場合ですと、住民に対する権利を保障するということを 県として考えたらいいと思うんですね。関連情報を説明しなければならない。住民に とってみれば説明される権利がある。これは情報公開法なんかですでに一部実施され てることですよね。これをもっと充実させることですね。
>  それから住民の側から提案する権利がある。例えば代替案をどんどん出して選択 肢を拡げるとより効果的な事業が見つかりますから、そういうことをどんどんやれる ようにする。これは今はありません。石井さんが何か言っても「ああ、勝手な市民が 言ってるな」というその程度の扱いになると思うんですけども、それを県の制度とし て認めるようにするということが大事だと思うんですね。
>  それからもう一つは決定過程に参加する権利ですね。徳島市が第十堰のとき住民 投票やりましたよね。そのような仕組みをつくっていければいいんだと思うんです ね。そういう仕組みをつくらないと今までの県行政は変わらないと思うんですね。そ ういうのをつくりながら県の職員との共同関係ができるようにしていければいいん じゃないかと思います。今までの仕組みというのは言わば政治の方針が決まってそれ を粛々とやる。そこを住民参加型でチェックするような仕組みを自分たちでつくって いくと。
>  これは別に条例ができなくてもできるわけですよね。例えばこの前のマリンピア の場合も住民参加ができるようにしましょうというふうにやりましたよね。その過程 はすべてオープンにしましたけれども、そのようなことをどんどん提案してやってい けばいいんじゃないかと思います。
>  私は今のこの東環状線の橋の問題については、実施段階で計画段階じゃないとい う意味では非常に難しいと思うんだけども、ここで政治判断をしてもらって住民参加 で検討しようということを例えば知事が表明すればいいんですね。そうするとあとは 制度はできると思います。
>
> [花輪]
>  ありがとうございました。
>  私どもが外から見てると、徳島の場合には第十堰問題、それからマリンピア沖洲 で結構住民参加のいい例ができているなあと。これが東環状大橋問題にどう反映され ていくんだろうかという期待を持って見ているところがあります。
>  それでフロアの方ももうそろそろしびれがきれてきたと思いますんで、ここでは 「情報公開」、「市民参加」、「合意形成」、今の議論と関連するテーマでお話をい ただきたいと思います。
>  はい、どうぞ。
>
> []
>  8年前の徳島市の都市計画審議会の議員をしておりました。当時の事情を少し話 しますと、先程の県の方のご説明では地元説明会に1,250人の方が参加したというふ うに言っておりますが、橋のことでは何もやっていません。
>  当時、新浜の住民の人たちが新浜地区に高架道路を通すことに反対するという大 変大きな運動がありました。これらの人たちが要望して地元説明会が何回も開かれま した。辻堂をいっぱいにして夜中まで審議をするというふうな形でやられていまし て、討論の中身は高架道路が必要なのかどうかという根本的な問題が議論されていま した。
>  それが残念ながら都市計画審議会ではクリアできなかったんですね。私は新浜町 を分断する道路はこういう理由で反対だし、パーソントリップの仕掛けも落ち度があ るということ、それから高年齢化が進んで橋ができたときには運転する人がいなくな るのではないかというふうなことまで出て、いろいろ議論をしました。だけどそのと きの都市計画審議会はこの場における要さんと同じ立場でして、他の議員はすべて賛 成でありました。だからこの道路のことについても反対の論議はありましたけれども 容れられませんでした。公開も要求しましたが容れられませんでした。
>  そのときにこの干潟や橋の問題はほとんど議論されませんでした。私もまったく 知りませんで、曽良さんにお伺いして勉強をしてそこに野鳥がたくさん飛んできてい るということも知りました。例えばルイスハンミョウですね。今では大変有名になっ てますが、そのとき初めてルイスハンミョウのことを僕が発言したら市の都市計画課 長は百科事典からルイスハンミョウのところをコピーしてみんなに配って、こういう 虫ですということを初めてみんなが知るということで、もちろん県の方も説明に来ら れておりましたけれども何も語っていません。もちろん干潟のことについて費用対効 果、あるいは干潟と橋、あるいは干潟と道路、そういう議論をしたことはまったくあ りません。
>  しかし地元の方の反対運動もありましたので徳島市の都市計画審議会は4回やり ました。これは異例です。現地でも住民の方から直接意見も聞きました。いろいろや りましたけど、しかし結論は「ゴー」ですね。そのあと都市計画審議会を県でやった のはたった一日です。で、決まってしまいました。
>  そういうことで事業は進められていたんですが、いま問題になっているのは自然 環境と公共事業の間のバランスをどうとっていくか、その住民合意をどうつくってい くかということが一番大事だと思いますので、例えば今日いただいた「東環状大橋」 というリーフレット、これは最近までは県はつくっておられませんでした。たぶんつ い最近つくったものだと思います。なぜかと言うと、漁業補償が解決していないから 橋の形状については最終的に明らかにできないんです。ということで隠されるんです ね。これを見て初めて干潟の真ん中に橋脚が立っているというのが分かるわけでしょ う。それが環境に配慮した橋なのか。じゃあこれでいいのかどうか。少なくともこの 橋が必要なのかどうかの議論も要ると思いますけれども橋がこういう形状でいいのか どうか。それが干潟をどう壊すのか。そういう議論も今の時点で絶対にやって欲しい と思います。
>  道路全体のことについては県の方もだいぶ勉強されて、それなりに費用対効果の 問題とかいろいろされておられると思うんですね。一定の理屈はあると思いますが、 干潟との関係、このことによって自然をどう壊すのかということについてはまだ明ら かにされていません。だからそこに限ってでも現時点での住民の意見を聞いて、県も 説明するし、我々もそれを知り、討論する、ということが少なくとも現時点では必要 ではないか。
>  その点では、中嶋先生おっしゃいましたけど、知事が「このことについて住民の 意見を聞こう」というふうに言っていただいたり、すぐにでもマリンピアの検討委員 会みたいなものをもっと最終的につくったりできるんだと思うんですよ。そういう課 題だと思うんですね。
>  繰り返しになりますが、8年前では曽良さんらが反対をしていた。残念ながらそ の時点では井口さんを知りませんでした。だから結局こういう運動も無かったんです ね。市民の側としてはこういうふうなシンポジウムをどんどん開いていって、この問 題を市民の中でPRしていく。行政も住民に正確にこの問題について答えかつ意見を 言っていくという場を今こそつくるべきだ。僕は徳島県の今のこの問題については可 能だというふうに思いますので、マリンピアの例なんかも用いながらぜひ実現をし て、その場で干潟の主の井口さんも積極的に発言をし、我々も発言して、合意形成を 図っていくということが必要なんじゃないかなと思っています。
>
> [花輪]
>  はい、ありがとうございました。
>
>  ――空白――
>
> [floor A]
>  ちょっと司会者に注意しておきますが、会場から10件以上意見が出されてると思 うんですが、今発表されたのは1件ぐらいですよね。こういうシンポはないと思いま す。シンポの進め方を常識通りやって欲しいというということを注意しておきます。 >  それからもう一点、県の姿勢の問題ですね。県の官僚の要さんという方が見えて ますが、皆さんからいただいた橋のパンフレット、負荷が一定あると認めてるわけで す。つまり環境を壊すということですね。「しかし今度の橋はそれを少なくするん だ」と言っているわけですよね。つまり環境を壊すんでしたら、どこまで壊すのか、 その環境を取り返せるのか、そこをイエスかノーで結構ですから言ってくれません か。
>  そういう見通しもなくて一千億円もかけて環状道路をつくるということは、私は 香川県の人間ですけれども非常に疑問に思ってるし、何のために民主知事を選んだの かが問われると思うんです。つまり県知事が代わっても結局官僚さんは変わらんのか ということになるわけです。徳島県の知事は民主的な知事だというふうに私は聞いて るんですが、県の官僚さんも都市計画を白紙にすることはできるでしょう。私はそれ は分かります。ですから現実から出発して、負荷があるんでしたらその負荷を少なく して環境を再生できるという方針を示した上で大いに工事をやってもらったらいいと 思うんですが、それの答えをお願いします。
>
> [花輪]
>  今は住民参加に関するご意見をということですので、環境に関する問題はこの後 にしたいと思います。フロアの方、もう一人どうぞ。
>
> [floor B]
>  妹尾と申します。
>  県の方にお伺いしたいんですが、県が出されている資料に対しまして非常に疑問 を感じ、また信憑性の無いようなものがずいぶん出ております。と言いますのは、先 日のマリンピア沖洲の市民検討委員会で新たな方式としまして係の先生が取り上げて いただきましたこの傍聴人の発言の際にも申し上げたんですけれども、住民がこの資 料をまともに受けたらとんでもないことが出てくるんではないかという考え方で、住 民ともう少し話をしていただきたい。
>  具体的に申し上げますとこの出された資料に「高級車」、「軽車両」、「自転 車」という区別がなされております。こういう区別はございません。これは法に従い ましても昭和26年6月の185号の道路交通法によりましても、また昭和34年の104号の 道路交通法におきましても自動車の区別に関してましてはそういうものは一切ござい ません。